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金ちゃんの本音と建て前+plus

エス・デザイン代表のブログ

トヨタのリコールについて

日経ヴェリタス第102号より、抜粋。
 
2月9日、トヨタ自動車は、ハイブリッド車「プリウス」などの
ブレーキに不具合が生じた問題で、国内外で計43万7000台を対象に
リコール(回収・無償修理)を実施することを発表した。
 
今回のプリウスの問題は、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が
低速で作動するという極めてまれな条件化において、一部の人が
違和感を持つというかなり限局された問題だった。
ところがそのことが正しく認識されないで、プリウスにはブレーキの効きが
悪くなる欠陥があるという一般的な問題として認識され、
ついにはリコールに至ってしまった。
 
リコールだけが問題への対処方法ではない。
今回の問題のような場面では、リコールという一律の全体的な措置になじむのか、
それ以外の一つ一つの車を個人に合わせて調整していくような局所的な措置が
ふさわしいのかという見極めが必要だろう。
 
トヨタの側にも、クライシスマネジメントとして大きな問題があった。
それは、上述のような問題の性質が、会見等を通じたトヨタの
国民・ユーザーに対する説明によって十分に理解されていなかったことだ。
 
一番重要なことは、もともとこれはABSが低速で作動するという極めてまれな
条件下でしか起きない問題だということを丁寧に説明して、ユーザーに理解し、
安心してもらうことだった。
ところが、記者会見の中での「フィーリングの違い」という言葉だけが
取り上げられて伝わったために、多くのユーザーが自分たちの身の危険に
関する問題がこういう言い方で片づけられたような印象を持ってしまった。
それがユーザー軽視の企業の姿勢のように受け取られて、社会から反発と不満を
招いてしまったように思う。
 
国交省の対応にも問題がある。
とりわけ、前原大臣が、問題かどうかは「使う側が決めることだ」といって
トヨタを批判したことがその後のマスコミの論調に大きな影響を与えた。
 
確かにトヨタの側の説明は不十分で、批判されるべき点はあった。
しかし自動車の安全装置について、使う側で技術的な詳細を理解できる人は
まずいない。
やはりユーザーとメーカーの適切なコラボレーションが必要なのであって、
使う側が決めればいいというような単純な問題ではない。
政府がこういう場面において客観的な観点から対応しないと、
国益を損なうことになりかねないだろう。
 
経済危機はまだまだ深刻な状況の中で、トヨタの技術水準の国際的優位性、
安全に対する取り組みをもう一度冷静に客観的に評価して
今回の問題を考えなければならない。
 
(以上、郷原信郎 名城大教授 筆)
 
今日の夕方、NHK-BS1でアメリカのニュース番組を見ていると、アメリカで
強まっている反トヨタの動きを示唆するような特集があった。
その内容は、レクサスの安全システムが、小さな異常には反応しない、
ということを実車を用いた実験で示すものだった。
これはまさに、プリウス問題から発症した、トヨタ欠陥非難であろう。
 
今回の問題は一過性のものではなく、今後の日本企業の姿勢を示す上で、
大変重要な局面に立たされるカタチに繋がりかねないものである。
 
今日に至るまで、トヨタは優秀な日本企業の象徴であった。
これから将来に向けても、その立場を失うべきではないと思う。
 
旧型のプリウスのユーザーを知っているが、ハイブリッド車の低燃費性や
プリウスそのものの魅力を語り、そのステイタス性にも満足していた。
商品は、間違いなく良いはずである。
今回のように、アフターサービスにおける不手際でその信頼を失うことは
とても残念なことだ。
 
一事が万事と捕らえられがちな、マスコミの報道にも問題はあるだろう。
 
しかし、信頼の回復を得るためには、次の動きをいかにすばやく誠実に
行うかが大切である。
今後のトヨタに期待したい。
 
クレームはビジネスチャンスである。

同時に、日本人にとっても、これを教訓に名誉挽回するチャンスである。