一日にして成らず。
先日、尊敬するS先輩から連絡があった。
夕方頃、食事に行かないか、というお誘いだったのだが、
いつもと少し様子が違う・・・、感じがした。
僕は、社外で取引先と打合せ中で、すぐには行けない旨、
返事をした。
打合せは長引き、終わり次第、すぐにS先輩に連絡した。
そして、居場所を聞き、合流することにした。
その日、S先輩は、一つの取引がうまくいかなかったとのこと。
その取引先は、僕の会社とも付き合いのある会社だった。
以前から、その会社のスタッフについては、話をすることが
多いのだが、その日は、核心にまで及んだ。
仕事というものは、信頼関係の上に成り立つものである。
社外、社内を問わず。
誰が信頼できるのか?信頼できないのは誰か?
残念ながら、その日は、信頼できない人の話になった。
問題は、各々の仕事に対する考え方や立場にも
起因するものだと思う。
例えば、仕事自体に、発注者、受注者が存在し、それを
同じ目線で考えていくことは難しいこと、などがある。
仕事が成立しない裏には、誰かが能力がないとか、
物事を考えていないとか、誠実でない、というような
批判話が生じ、だんだんと浮き彫りになってくる。
一事が万事ではないが、ある仕事が成り立たないことを
きっかけに、ある人への信頼度というものは急降下し、
遡って、その人は人間性まで非難されてしまいがちである。
最後には、その人の性質上、仕方のないことだということに
落ち着いてしまうほか、解決のしようが無いのだ。
ものすごく話が抽象的で、リアルに表現できていないのは、
その会社が、僕にとってあまりにも身近な会社であるからだ。
具体的に書くことは、とてもじゃないが、できない。
僕は、批評する立場ではないのだが、S先輩の想いが
とてもよく分かるのだ。
日本社会では、ビジネスにおいて、発注者側が、
受注者にたいして、徹底してイニシアチブ(主導権)を握る、
いや、そうするものと思い込んでいる。
受注側が、それほど儲かる商売ではないのに・・・、である。
景気がイマイチの昨今では、受注者が、赤字覚悟で
仕事を取ることも、珍しいことではない。
僕が言いたいことは、発注者と受注者は、50:50
(フィフティー・フィフティー)の立場であるべきだということだ。
お金を払う方が偉いわけではない。
お金をもらう方は、同じ対価の仕事やサービスをするからだ。
あるいは、その対価以上の仕事になるかもしれない。
何が言いたいか・・・。
取引は、等価交換であることが、望ましいということ。
すなわち、発注者と受注者は、対等であるべきなのだ。
対等であるならば、尚のこと、信頼関係は欠かせない。
お互い歩み寄り、最高のパフォーマンスを発揮することで、
仕事は、大きな成果となって、実現されると信じている。
そこのところ、考え方が違う人と付き合うのは困難だ。
ここで一つ、信頼残高、という考え方がある。
小さな信頼の積み重ねを貯蓄して、大きく増えていれば、
多少の失敗をしたところで、貯蓄は残る可能性があり、
新しいチャレンジの道が残される。
信頼の積み重ねが無ければ、失敗すれば退場して
いただくしかなく、信頼ゼロまたは残高マイナスの人とは、
誰も、一緒に仕事をしようとは思わなくなってしまうのである。
その会社のスタッフは、気を付けなければいけない。
なぜなら、尊敬するS先輩からよく思われなくなってしまっていて、
連鎖的に、関係者(僕を含む)のその会社に対する信頼残高も、
少なからず減ってしまうからだ。
信頼は、一日にして成らず。
僕は、人を信頼しなければ、人から信頼されないと思っている。
結果的に、仕事がうまくいかなくても、信頼関係は
絶対に失いたくない。
今回のことは、僕も残念に思っているが、これを反面教師とし、
人との信頼関係を大切にしていきたい。
オマケ:http://www.geocities.jp/flash556ch/bokunotaisetunamono.html
人生、積み重ねが大事だよね!